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取締役会の招集通知——期限の数え方と、間に合わなかったときの対処

カテゴリー:企業法務・顧問/執筆:弁護士 宮本和弥/最終更新日:2026年9月13日

この記事の要点

  • 招集通知は、取締役会の日の1週間前までに、各取締役(監査役設置会社では各取締役および各監査役)に対して発するのが原則です(会社法368条1項)。定款でこれを下回る期間を定めることもできます。
  • 日数の数え方に注意してください。「1週間前まで」とは、発信日の翌日から数えて会日までに丸1週間(7日)あることを要する意味に解されています。9月15日に開くなら、通知は9月7日以前です。9月8日では足りません。
  • 通知の方法に法律上の決まりはなく、口頭でも有効です。ただし実務では書面が通例で、後から発信日を証明できることが重要です。
  • 定款で期間を短縮できますが、招集通知そのものを省略できるわけではありません。
  • 緊急でその日に開きたいときは、招集手続の適法性を確保するため、取締役(監査役設置会社では取締役および監査役)の全員から開催前に同意を得て、招集手続を省略する方法(会社法368条2項)を検討してください。
  • 再決議が必要と判断し、招集手続を省略して再開催する場合は、その開催前に、取締役(監査役設置会社では取締役および監査役)の全員から同意を得てください(証跡として書面で残すことをおすすめします)。全員の同意があれば、招集手続を省略してその場で取締役会を開き、同じ議案を改めて決議できます(会社法368条2項)。
  • 招集通知期間の不足は、招集手続の瑕疵の典型例と位置づけられています。開催前の同意がなかった取締役会について、開催後に初めて同意を得ても、それだけで招集手続の瑕疵は治らないと解されています。
  • もっとも、取締役と監査役の全員が出席し、誰からも異議なく議事に入った場合には、招集手続の瑕疵は治癒されると解されています(全員出席取締役会)。1人でも欠席していれば、この考え方は使えません。
  • 取締役会の決議の効力を争うための特別な訴えは、会社法に定められていません。株主総会には決議取消しの訴え(決議の日から3か月以内。会社法831条1項)などがありますが、取締役会にこれに対応する制度はありません。
  • 手続の瑕疵を隠すために、議事録の日付や記載内容を事実と異なるものにしてはいけません。議事録の虚偽記載は、100万円以下の過料の対象です(会社法976条柱書・7号)。

本記事で引用する法令は、会社法(平成17年法律第86号)、会社法施行規則(平成18年法務省令第12号)、民法(明治29年法律第89号)および刑法(明治40年法律第45号)です。以下、会社法施行規則を「施行規則」と表記します。

取締役会の招集通知は、いつまでに出さなければなりませんか

原則として、取締役会の日の1週間前までです。会社法368条1項は、取締役会を招集する者は、取締役会の日の1週間前までに、各取締役に対してその通知を発しなければならないと定めています。監査役設置会社では、各取締役に加えて各監査役にも発する必要があります。

この1週間は、定款で短縮することができます。同項は「これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間」と定めており、多くの会社が定款で3日前などと定めています。まずは自社の定款を確認してください。定款に定めがなければ、1週間が基準になります。

日数の数え方に注意してください。「1週間前まで」とは、通知を発した日の翌日から数えて、取締役会の日までに丸1週間あることを要するという意味に解されています。初日を数えないという民法の原則(民法140条)によるものです。発信日と会日を含めて数えると、1日足りない結果になりがちです。

具体例で確認します。9月15日(火)に取締役会を開くなら、招集通知は9月7日(月)以前に発しなければなりません。9月8日(火)でも足りません。発信日の翌日から数えて、会日までに丸1週間を空ける必要があるからです。

期限と根拠をまとめると、次のとおりです。

項目 期限・内容 根拠
招集通知の発出取締役会の日の1週間前まで(定款でこれを下回る期間を定めることが可能)会社法368条1項
期間の数え方発信日の翌日から起算し、会日までに丸1週間会社法368条1項、民法140条
通知の相手方各取締役。監査役設置会社では各監査役にも会社法368条1項
通知の方法定めなし(口頭・電話でも可)会社法368条1項
招集手続の省略取締役および監査役の全員の同意があるとき会社法368条2項

招集通知は、どのような方法で出し、何を書けばよいですか

方法について、会社法は定めを置いていません。株主総会の招集通知(会社法299条2項・3項)と異なり、取締役会の招集通知を書面や電磁的方法により発することは要求されていません。口頭や電話による招集通知も認められると解されています。

もっとも、実務では書面によるのが通例です。審議の準備と周知徹底のため、また後日問題が生じたときの記録のためです。近年は電子メールによる通知も増えています。口頭でも法律上は有効ですが、記録が残っていなければ、後から「いつ発したか」を証明することが難しくなります。期限の問題が生じたときに困るのは、まさにこの点です。

記載内容についても、特別の規定はありません。取締役会の日時と場所は通知する必要がありますが、取締役会の目的である事項(議題)を特定することまでは、法律上は求められていません。

ただし、定款や取締役会規程で「招集通知に議題を記載する」と定めている場合は別です。その場合、議題を記載しない通知は適法な招集通知と認められないと解されています。自社の取締役会規程を一度ご確認ください。

定款で期間を短縮できますか。どこまで短縮できますか

短縮できます。会社法368条1項の括弧書が、1週間を下回る期間を定款で定めることを認めています。実務では3日前程度に短縮している例が通例です。

短縮するには定款の定めが必要で、取締役会の決議では足りません。招集通知期間は各取締役・監査役の出席の機会と熟慮の機会を確保するためのものだからです。取締役会規程で短縮しているだけの会社は、定款を確認してください。

定款に「緊急の必要があるときは、この期間を短縮することができる」という定めを置く会社もあります。この定めは一般に有効と解されています。ただし、これはあくまで期間を短縮する定めであって、招集通知そのものを省略できるという意味ではありません。「緊急のときは招集通知を要しない」という定めは無効と解されています。緊急短縮条項を使う場合も、通知は必要です。

短縮にも限度があります。文献は、取締役や監査役が取締役会に出席できる期間または時間が確保されていなければならないとしています。夜中に電話で招集を通知して5分後に取締役会を開くというように、物理的に参加することが不可能な時間しか空けない招集は無効とされます。

「緊急だから今日開く」という運用は危険です。定款に緊急短縮条項があっても、招集手続に瑕疵があると評価されるおそれがあります。何時間前なら足りるかという基準は示されておらず、文献も「その限界は明確ではない」としています。

緊急でどうしても当日開きたいときは、次に述べる全員の同意による招集手続の省略(会社法368条2項)を検討してください。当日開催というだけで直ちに違法になるわけではありませんが、この方法であれば、短縮後の通知期間が十分かという問題を避けられます。

取締役と監査役の全員が同意すれば、招集通知なしで取締役会を開けますか

開けます。会社法368条2項は、取締役(監査役設置会社にあっては、取締役および監査役)の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく取締役会を開催することができると定めています。1人でも同意しない取締役または監査役がいれば、この方法は使えません。

条文は「招集の手続を経ることなく開催することができる」と定めています。開催を可能にするための同意ですから、同意は取締役会を開く前に得ておく必要があります。開催前に同意がなかった場合、開催後に初めて同意を得ても、この条文の適用を受けることはできません。

同意の方式について、会社法は何も定めていません。書面でなければならないという決まりはなく、明示でも黙示でもよいと解する見解もあります。とはいえ、同意があったことと、それが開催前であったことを後から証明できなければ、紛争時に不利益を受けるおそれがあります。日時と場所を特定した書面(または電磁的記録)で残すことをおすすめします。

実務上は、次の点にご注意ください。同意書には、開催する取締役会の日時と場所を特定して記載してください。「今後の取締役会について招集手続を省略することに同意する」といった書き方では、どの取締役会についての同意なのかが特定できず、効力がないと解されています。同意は開催前に得て、同意書には実際の日付を記載してください。実際と異なる日付を記載してはいけません。

議事録への記載も忘れないでください。招集手続を省略した取締役会について、その旨を議事録に書くことは法律上は要求されていません。もっとも、施行規則101条3項が定める記載事項は限定列挙ではないと解されており、招集手続を省略した旨とその根拠を記載しておくのが実務的です。欠席した取締役や監査役がいる場合には、その人から「招集手続の省略に同意した」旨の付記と署名または記名押印をもらっておくと、後日の紛争を防げます。

なお、全員の同意は招集手続を省略するための要件であり、決議そのものの要件ではありません。決議は、議決に加わることができる取締役の過半数が出席し、その過半数をもって行うのが原則です。ただし、定款で出席割合や賛成割合を加重している場合は、その割合以上が必要です(会社法369条1項)。したがって、招集手続を省略したこと自体によって、同意した取締役全員の出席が必要になるわけではありません。出席者数は、法令・定款の定足数を満たす必要があります。

取締役会を開かずに決議することはできますか

定款に定めがあれば、取締役会を開かずに決議することができます。会社法370条は、取締役が取締役会の決議の目的である事項について提案をした場合に、その提案につき議決に加わることができる取締役の全員が書面または電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、その提案を可決する旨の取締役会の決議があったものとみなす旨を定款で定めることができると規定しています。

利用にあたっては、3つの要件を確認してください。第1に、定款にこの定めがあることが前提です。定款に定めがなければ利用できません。第2に、議決に加わることができる取締役の「全員」の同意が必要です。第3に、監査役設置会社では、監査役がその提案について異議を述べたときは、みなし決議は成立しません。

招集通知が遅れた取締役会の決議は、無効になりますか

会社法には、取締役会の決議の効力を争うための特別な訴えの制度が定められていません。そのため、効力がどうなるかは解釈に委ねられ、争い方も民事訴訟法の一般原則によることになります。

株主総会と比べると違いがはっきりします。株主総会については、決議の不存在確認の訴えと決議の無効確認の訴えが定められており(会社法830条1項・2項)、招集手続などに瑕疵がある場合の決議取消しの訴えも用意されています。決議取消しの訴えには、決議の日から3か月以内という提訴期間の制限があります(会社法831条1項)。

取締役会には、これに対応する制度がありません。提訴期間の定めもありません。つまり、株主総会のように「3か月を過ぎれば争えなくなる」という仕組みが、取締役会にはないということです。手続に瑕疵があれば決議は原則として無効であり、利害関係人は、いつでも、どのような方法でもその無効を主張できると解されています。別の訴訟の中で、前提問題として持ち出されることもあります(もっとも、決議が無効であることと、その決議に基づいて行われた取引の効力とは、別の問題として扱われますので、ご留意ください。)

招集通知期間の不足は、招集権者でない取締役による招集や招集通知漏れと並ぶ、招集手続の瑕疵の典型例とされています。他方で、あらゆる瑕疵がただちに決議を無効にするわけではないとも解されており、結論は事案ごとの判断になります。

招集通知期間の不足については、取締役および監査役の全員が出席し、誰からも異議なく議事に入った場合には、その瑕疵は治癒されると解されています(いわゆる全員出席取締役会)。招集手続をまったく経なかった事案についてですが、最高裁は、取締役の全員が会社の業務執行に関する事項について協議決定したときは、招集手続を経ない旨の明示の同意がなくても、その事項について取締役会の決議がされたものと解すべきである、と判示しています(最判昭和31年6月29日民集10巻6号774頁)。ただし、1人でも欠席していれば、この考え方は使えません。

注意していただきたいのは、事後の同意では瑕疵は治らないと解されていることです。通知が届かなかったために欠席した取締役から、後になって「異議はありません」という同意書をもらっても、それによって決議が有効になるわけではありません。

招集通知が期限に間に合わなかったと気づいたら、まず何をすればよいですか

第1に、自社の定款と取締役会規程を確認します。定款で招集期間を短縮していれば、そもそも期限を守れていた可能性があります。発信日の翌日から会日までの日数を、条文の文言に沿って数え直してください。「1週間前まで」とは、発信日の翌日から数えて会日までに丸1週間あることを要する意味に解されています(民法140条)。9月15日開催なら通知は9月7日まで、9月8日では足りません。

第2に、決議の効力を検討して再決議が必要と判断したときは、適法な手続で改めて同じ議案を決議します。最も早いのは、取締役(監査役設置会社では取締役および監査役)の全員から事前の同意を取得し、招集手続を省略して直ちに開催する方法です(会社法368条2項)。緊急性がなければ、法定または定款所定の期間を守って招集通知を発し直す方法でも構いません。定款に会社法370条の定めがあれば、取締役会を開かずに書面で決議する方法も使えます。

議事録の日付を遡らせて作り直してもよいですか

絶対にしないでください。会社法976条柱書・7号は、議事録に記載し、もしくは記録すべき事項を記載せず、もしくは記録せず、または虚偽の記載もしくは記録をしたときは、100万円以下の過料に処すると定めています。

さらに、故意に虚偽の記載をした議事録を添付して登記を申請し、登記簿に事実と異なる記載をさせた場合には、過料にとどまらず、公正証書原本不実記載等の罪(刑法157条1項)が成立することがあります。この罪の法定刑は、5年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。

招集通知の発信日を遡らせた体裁の書面を作ることも、事実を偽る行為として避けてください。手続の瑕疵そのものよりも、それを隠そうとした事実のほうが、後になって重い問題になり得ます。

では、どうすればよいのでしょうか。すでに作成し押印した議事録は、そのまま保存してください。手続の瑕疵を隠すために差し替えたり、事実に反する内容に書き換えたりしてはいけません。

ご相談について

当事務所では、取締役会の招集手続に瑕疵が見つかった場合の是正方針の検討、再決議のための同意書と議事録の作成、取締役会規程や定款の見直しをお引き受けしています。

ご注意

本記事は一般的な情報提供を目的とするものであり、個別の事案に対する法的助言ではありません。また、法律の専門家ではない方に読んでいただくことを想定し、専門用語をできるだけ避けて、平易な表現を用いています。そのため、条文や裁判例の言い回しを、内容を損なわない範囲で言い換えたり、例外的な場合の説明を省いたりしている箇所があります。記載内容は最終更新日時点の法令に基づくものであり、実際の事案では、会社の機関設計や定款の定め、事実関係によって結論が変わります。本記事の記載のみに依拠せず、弁護士又は司法書士にご相談ください。